シンギュラリティソサイティ小論文

ディープラーニングによるデータの利活用は大きく、以下の流れになる

データ取得⇒ベクトル化⇒分析⇒サービス化

この時にネックになるのが、ベクトル化と、サービス化である。

データがベクトル化しずらいものだと、ベクトル化の仕組みが重要になり、サービス化が複雑な場合は、サービス化のロジックが重要になってくる。

ディープラーニングの適用先としては、まず、ベクトル化もサービス化も難易度が低い領域が考えられる。

例えば、個人特定や、画像診断などが挙げられる。

次に、ベクトル化がやや困難な領域や、サービス化が複雑な領域が適用先として考えられる。

適切なベクトル化の方法が見つかり、適用可能になった例としては、ドラッグディスカバリーなどが挙げられる。

ただし、適切なベクトル化の方法の発見は、ディープラーニングそのものの特性とはあまり関係のないものであり、適用先の数はそう多くはないと予想される。

一方で、複雑なサービス化の例が自動運転であり、これは時間こそかかるが、確実に適用されていく分野だと思う。

以上の前提を踏まえた上で、直近に実現可能な「ベクトル化もサービス化も難易度が低い領域≒単純な画像認識を利用したサービス」と、いくばくかの時間を要す「サービス化が複雑な領域≒自動運転」がいかに社会を変えていくかを論ずる。

1. 単純な画像認識を利用したサービス

インパクトの大きな適用先として、個人特定と、画像医療診断が考えられる。

個人特定は、主にマーケティングや顧客分析の観点で大きな意味を持つ。

現在のマーケティング情報は、実際の購買行動があった際に、ポイントカードなどを提示した顧客でしか情報を取得できていない。

しかし、例えば監視カメラのデータをもとに個人特定をすることで、誰がどのように移動し、何を買ったのか、買わなかったといった情報が取得できるようになる。

一方で、プライバシーの問題も存在する。

故に、中国のようなプライバシーの管理が甘い国や、シンガポールのような監視カメラ大国での適用がまずは進むと予想される。

一方で、画像医療診断はレントゲンや胃カメラといった画像データから、病理の有無を判断する。

現在は、医師が経験や理屈から判断しているが、ディープラーニングを持ちいてれば、これが簡易に、かつ確実になる。

診断医という新しい職業が生まれ、まずは診断医が決められた方法で画像データを取得し、解析にかける。

そこで、少しでも怪しければ本当の医師へと連携される。

診断医の育成は、医師の育成と比較し、はるかに簡単であり、これにより医師不足解消や、医療費削減に貢献できるはずである。

2. 自動運転

まず適用可能になる自動運転は、幹線道路などの定期路線だと予想される。

もっともイージーなのが高速道路であり、これは特に流通面において大きなインパクトを与えうる。

高速道路の乗り降り地点で、運転手が待機し、そこからは人が運転するといったモデルが早期に成立すると思われる。

一方で、旅客輸送においても、十分に適用の余地はあり得る。

例えば、環状線のいくつかの車線を自動運転専用レーンとし、そこをバスなどの自動運転車を走らせるのであれば、初期の自動運転でも十分に運用可能だと思われる。

そのような定期路線が成立し、電車と同等の輸送能力を持つことが出来れば、都市の再開発が促進される。

過去に、山手の線の外周に環状線を作る計画があったが、用地買収の困難さから、頓挫している。

自動運転によって、環状7号線や8号線にあたらに路線ができれば、都市の人の流れが変化し、新たなオフィスタウン、ベッドダウンが生まれる。

これは都心の中心地への一極集中などを避ける施策となりうるはずである。

3. 最後に(ディープラーニングが意味すること)

ディープラーニングが意味することは何なのか、生命の進化になぞらえて語ってみたい。

ディープラーニングは、生命の進化における、目の獲得に非常に近いと思う。

実際に、ディープラーニングと画像解析の相性は非常によく、様々な応用が模索されている。

目の獲得は、生命の進化において何を意味したのか。

それはカンブリア大爆発である。

生命は目を手に入れたことで、様々な捕食の仕方、そしてそこからの逃れ方を見出した。

その結果、実に多様な種の生き物が短い期間で生まれたのである。

たかが目、されど目なのである。

おそらく、画像解析という、意見シンプルな仕組みの自動化が、これから非常に多岐にわたるサービスを変革させていくと思う。

まさに、カンブリア大爆発がこれから起きようとしているのではないだろうか。